串田孫一『隠された鍵』/井筒俊彦『意味の構造』

晴。
大垣。BOOK OFF岐阜うさ店。
音楽を聴く。■ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第一番op.78(ジェニファー・パイク、トム・ポスター)。パイクのヴァイオリンは凡庸。もっとたっぷりした響きが欲しいし、歌わせ方も足りない。終楽章はまずまず。ピアノは好サポート。■シューマン:ヴァイオリン・ソナタ第一番op.105、クララ・シューマン:三つのロマンスop.22(パイク、ポスター)。シューマンの終楽章が、ファンタジックで素晴らしい。ここだけでもよかったので、ホッとした。クララの曲は、ロベルト風の音楽であるが、この演奏で聴く限り、才能がまったくちがう。ロマンティックだが、個性に乏しいのだ。まあ、聴いてみたらいいのではないか。蛇足しておくと、このアルバム、選曲がいいのだよね。ブラームスシューマンも、個人的にはとても好きな曲だ。

Violin Sonatas

Violin Sonatas

■マリピエロ:交響曲第一番(デ・アルメイダ)。マリピエロ(参照)という作曲家はそれほど知られているとは云えないが、弦楽四重奏曲のアルバムを聴いてから、只者ではないと思っていた。この曲を聴いて、その印象は益々強まった。マイナー・ポエットとは、マリピエロのためにある言葉のように思う。作曲年代からいくと、完全な調性音楽であるこの曲などは、反動的なように感じられるかも知れないが、それでもじつに新鮮だ。美しくもモダンな曲である。別の指揮者の演奏でも聴いてみたい。
Symphonies 2 Nos 1 & 2

Symphonies 2 Nos 1 & 2

ベートーヴェン弦楽四重奏曲第十二番変ホ長調op.127(エマーソンSQ)。

図書館から借りてきた、串田孫一『隠された鍵』読了。アフォリズム集。日本人のアフォリズム集は、あまりないような気がする。
隠された鍵

隠された鍵

図書館から借りてきた、井筒俊彦井筒俊彦著作集4 意味の構造』読了。牧野信也訳。コーランの意味論的分析。
ネット時代というのは「意見」が溢れているので、小さい声は埋没してしまい、結局大きい声でしつこく言っている意見が生き残る。内容が正しいとかは、二の次である。
最近日本が「右傾化」しているのどうので、某小説家などが威勢のいいことを言っているが、右翼左翼以前に、ちょっと議論のレヴェルが低すぎるのではないの。非常に暗い気持ちになる。あれを見て、まともな右翼なら国辱ものだと考えるのが当然ではないのかと、どうも左翼らしい自分は思う。持て囃されているオバサン右翼小説家あたりにも、暗澹とさせられる。大江健三郎に噛み付いて読解力0なのをきっちり証明されてしまったのに、それでもこの持ち上げられようは何だろう。また、それに与党の政治家が影響されたりしている(中国の政治家は、明らかにもっと強かだ)。自分のような者がこんなことを云うのは何だが、もう少しレヴェルを上げてくれ。こんな大人たちを見ていて、子供たちがまともに育つはずがないだろう(って子供たちをバカにし過ぎか)。とんだ道徳教育である。
そう云えば新聞で読んだが、佐藤優は最近、「反知性主義」の台頭ということを言っているようだな。さすがに鋭い。