岩本素白『素湯のような話』

雪! 意外なことに、積ったのはこの冬初めて。
2014年冬・春_47a
音楽を聴く。■ドビュッシー管弦楽のための「映像」、牧神の午後への前奏曲ブーレーズ参照)。何という色彩感の豊かさ! 特に「映像」が心地よく、陶然としてしまう。■ドビュッシー:映像第一集(アラウ)。見事。申し分のない演奏だ。なお、アマゾンではCDは馬鹿みたいな値段がついているので、MP3ストアの方がお値打ち(参照)。

Debussy: Preludes/Images/etc.

Debussy: Preludes/Images/etc.


岩本素白『素湯のような話』読了。挽きたての白木の柱から漂ってくる、高貴な香を纏うような文章。または、読んでいると、各駅停車のローカル線に乗っているかのような感じがしてくる。自分のように、刺激の強いものに接していがちな者には、読み始めはちょっと忍耐が要るのだが、読み続けていると、次第にしみじみしてくるのだ。まったく無用な随筆集というのが嬉しい。しかしこれもまた、日本の「文学」の良質な典型なのではあるまいか。恐らく素白先生は、生前は知る人ぞ知るという存在だったと勝手に想像しているが、歴史というものは厳しいまでに公平である。素白先生の文章は、近年多くが文庫など、ハンディなエディションで復活した。それで自分のような者にも、簡単に読めるようになったのがありがたい。
音楽を聴く。■ドビュッシー:シランクス、武満徹:海へII、エア、ドビュッシー:フルート、ハープとヴィオラのためのソナタ(コンドナシス、参照)。フルートのためのよく知らない曲が並んでいるが、どれもいい曲で驚かされる。よくできた選曲だ。■メンデルスゾーン交響曲第三番イ短調op.56(アバド)。少しずつメンデルスゾーンがわかるようになってきた。メンデルスゾーン、素晴らしい。いわば、ロマン派のモーツァルトだ。ついでに、アバドも段々わかってきた。何を今更と云われるかも知れないが、アバドもいいです。射程が大きい。■シューマン弦楽四重奏曲第三番イ長調op.41-3(ケルビーニQ)。好演。■シューマン:幻想小曲集op.73、おとぎの絵本op.113、ヴァイオリン・ソナタ第二番ニ短調op.121(アルゲリッチ他)。どれもいい曲。ヴァイオリン・ソナタ第二番は久しぶりに聴いたが、こんなドラマティックな曲だったとは。元々第一番の方が好きなのだが、やはりこちらも捨てがたい。なお、どの演奏もアルゲリッチが引っ張っていて、共演者たちの美質が充分に発揮された演奏になっている。
Schumann: 200th Anniversary-Chamber Music

Schumann: 200th Anniversary-Chamber Music

これでこのシューマン室内楽BOX、全曲を聴き終えたが、演奏の質がどれも高い。ハズレはないと云ってもいい。シューマン室内楽の大部分が揃っていて、ないのはピアノ三重奏曲第三番と、ヴァイオリン・ソナタ第一番くらい。シューマン室内楽を初めて聴いてみようという人には、まず第一に薦められるのではないか。