宮崎かすみ『オスカー・ワイルド』

雨。
音楽を聴く。■メンデルスゾーンクラリネットソナタ 変ホ長調(グラーフ)。これは拾い物。メンデルスゾーンって普段あまり聴かないのだが、いいね。ちょっと意識的に聴いてみるか。しかしこの曲、ライナーノーツによるととてもめずらしいものらしい。作品番号もついていないし、ウィキペディアの楽曲一覧にも載っていないようである。■アルビノーニクラリネット協奏曲op.7-3, 7-4(ホリガー)。■メンデルスゾーン:付随音楽「夏の夜の夢」op.61(プレヴィン1976)。メンデルスゾーン、いいではないか。ロマン派の中で、もっともバランスのとれた作曲家だろう。曲が深刻でないから、大作曲家の中では(ヴァイオリン協奏曲以外)比較的聴かれないような気もするが、これはものにしたい感受性だ。なお、超有名な「結婚行進曲」は、この曲に含まれています。

モーツァルト:ピアノ・ソナタ第一番K.279(内田光子)。
Mozart: The Piano Sonatas

Mozart: The Piano Sonatas


宮崎かすみオスカー・ワイルド』読了。副題「『犯罪者』にして芸術家」。いやあ、これは面白かった。傑作評伝というやつですね。オスカー・ワイルドの生涯を描くということは、必然的に、ヴィクトリア時代における性道徳を相手にすることになる。その興味深い背景とともに、ワイルドという才気煥発な人物が縦横に活躍するのだから、読んでいて映画でも観ているような興奮を覚えずにはいられなかった。また、著者の筆の力もすばらしい。自分はワイルドについてはよく知らなかったし、著書も『サロメ』や短篇集を読んだくらいなので、本書の記述はじつに新鮮だった。まさかワイルドが、ドレフュス事件にまで関係しているとは。まあそれすら刺身のツマのようなもので、特に同性愛で監獄に入れられ、落魄し、それこそ地獄の苦しみを味わうところなど、鬼気迫っている。しかし『獄中記』も読んだはずだが、そこで綴られているであろう「深き淵より」(これが原題である)をすっかり忘れているのは、我ながらどういうものかと思う。これは再読してみたい。それに『ドリアン・グレイの肖像』すら、まだ読んでいないのだ。これはいけない。『レディング監獄のバラッド』も入手して、共に読んでみたいと思う。それにしても、ワイルド本人の言うとおり、彼の作品ではなく、彼の人生こそが、彼のもっとも心血を注いだものであるとは、まったく本書の示すところだ。あたかも、小説であるかのごとくに。もちろん本書は実証の書であるが、詩も充分にあると云っても、よもや著者には怒られないと思う。
なんだか今日は、codecogs が変だ…。数式がうまく表示されない。仕方がないので、今日は mime Tex を使うしかない。



2014年冬・春_37a