堀江敏幸『正弦曲線』

晴。のち曇。
大垣。車中ではバッハのフルート・ソナタランパル)など。
カルコス。
県営プール。

堀江敏幸『正弦曲線』読了。いつもどおり、恥ずかしくて上手い文章だ。これもいつもどおり、上手すぎるくらいである。こういう感情を与えてくれる文章家は少ないので、できるだけ読むようにしている。修行になるのだ。「製氷皿について」という短文には、思わずそうそうと頷いてしまった。あのアルミ製の、レバーをぐっと手前に引くことで、キューブ状の氷を落とす装置。たぶん、若い人は知らないだろう。それから、ジネット・ヌヴーのヴァイオリンは、聴いてみたくなった。

正弦曲線 (中公文庫)

正弦曲線 (中公文庫)


リヒテルショパンスクリャービンのライブ録音を聴く。ショパンもまったく非凡だが、スクリャービンソナタが猛烈な演奏だ。殊にソナタ第二番が、あり得ないことになっている。リヒテルのライブ録音は把握しきれないほどあるのだが、全部聴くのはもちろん不可能だけれど、かと言ってこうした演奏があるから止められない。よくこんな、ピアニストに必要なすべての能力をもった存在が、居たものだと思う。リヒテル以前にリヒテルはいなかったし、今後もこんなピアニストが出ることはないであろう。なお、最近のノイズ除去技術は素晴らしく、古いライブ録音だがかなりいい音で、音楽を堪能するに充分な音質が確保されていることを、付記しておこう。
 曲は、ショパン:練習曲op.10-4,10,11, op.25-5,8,11,12/夜想曲op.62-2,72-1/幻想ポロネーズop.61。スクリャービン:ピアノ・ソナタ第二番op.19、第五番op.53。
Chopin:Etudes, Nocturnes/Scriabin: Sonata 2 & 5

Chopin:Etudes, Nocturnes/Scriabin: Sonata 2 & 5