北原白秋『フレップ・トリップ』

晴。
音楽を聴く。■ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第四番op.7(ミケランジェリLive)。■ショーソン:詩曲op.25、レスピーギ:秋の詩(ユリア・フィッシャー)。詩曲は云うまでもなく名曲。フィッシャーは初めて聴いたが、なかなか力量のあるヴァイオリニストだ。

Poeme

Poeme

■バッハ:パルティーイ短調BWV1013(ランパル)。無伴奏フルートのための曲。名曲ですよ。
Flute Sonatas

Flute Sonatas

ショパン:ピアノ・ソナタ第三番op.58(フランソワ)。グールド推奨の演奏。色んな意味で完璧なポリーニ盤と比べたら、技術的にはお話にならない。しかしまあ、フランソワは数少ない、天才的なピアニストであったことは明瞭だ。なるほど、ショパンとはこういうものなのだと悟らせてくれる、魅力的としか云いようのない演奏である。マクロな様式感と、ミクロな微分的粋とが結合した、分析のできない直感的な音楽作りになっている。一言で云えば、真面目に弾いているのに洒落ているのだ。こうした感じのピアニストは、最近ではほぼ全滅ではないか。

北原白秋『フレップ・トリップ』読了。白秋のユニークな樺太旅行記。詩と散文の結合を目指して、実験的な手法が採られている。中身は愉快な旅行記と云ってもいいのだが。童謡のイメージから、白秋は保守的な詩人だったようなイメージがあるかも知れないが、出発点ではデカダンな詩を書いていたくらいで、なかなかの人物なのである。決して古臭い詩人ではない。
 なお、フレップは赤い実、トリップは黒い実だそうだが、トリップにはもちろん旅行の含意もあるだろう。しかし、岩波文庫も変った本を入れるね。もちろん歓迎である。
フレップ・トリップ (岩波文庫)

フレップ・トリップ (岩波文庫)



2004年冬・春_1
岐阜やその近辺のお雑煮は、きわめてシンプルである。上を見てもらえばわかるが、汁に餅と餅菜(もちな)が入っているだけで、あとは鰹節が散らしてあるだけなのだ。これはだから、別にウチが貧乏だからではないですよ。他地方の方には物足りないかも知れないが、餅のうまさを味わうにはこれがベストなのである。だから、餅そのものの質が問われるのであり、餅がダメならば美味しくないし、それが旨ければ、とてもいいものなのだ。自分は子供の頃からこれに慣れているので、色々具の入ったお雑煮は、どうも違和感を否定できないのである。もっとも、誰も自分のところのお雑煮が、最高なのは云うまでもないだろうが。