ゲルツェン『向こう岸から』/朝日新聞戦後補償問題取材班『戦後補償とは何か』

晴。のち曇。
信じられないくらい寝た。どういうものかな。仏教では、寝過ぎはよくないことになっているのだが…
県営プール。

アレクサンドル・ゲルツェン『向こう岸から』読了。長縄光男訳。素晴らしい本だ。百五十年以上前の本にもかかわらず、今でも古びていない洞察があちらこちらに見られる。ゲルツェンは、民衆というものをじつによく理解している。無知であり愚かであるが、それは究極的には、ある意味では絶対者なのだ。そしてゲルツェンは、己を傍観者だとする。それは強いられたものだけれども、柔軟な精神を持つ傍観者というものは、意味のない存在ではない。ゲルツェンにはイデオロギー社会主義)もあるが、そこが古びても、まだ読む価値があると思う。声低き存在に、耳を傾けよ。

向こう岸から (平凡社ライブラリー)

向こう岸から (平凡社ライブラリー)

図書館から借りてきた、朝日新聞戦後補償問題取材班『戦後補償とは何か』読了。小著であり、これだけでは「戦後補償問題」を充分に理解することは難しいように感じる。ただ、日本人として日本のために戦った(現在の)外国人に対し、日本人並みの対応がなされていないというのは、これはおかしいような気がする。その他、正確な知識がもう少し欲しいものだ。文庫や新書レヴェルで、適当な本がたくさん必要だと思う。また、本書はかなり前の本なので、韓国や中国の最近の強硬な姿勢に対応していない。内容のアップ・デートが必要。
 それにしても、戦争でひどい目にあうのは庶民である。戦争を正当化することはできない。しかし現在でも、戦争はちっともなくなっていない。これからもなくならないのだろうか。
戦後補償とは何か (朝日文庫)

戦後補償とは何か (朝日文庫)


音楽を聴く。■シューマン弦楽四重奏曲第二番op.41-2(ケルビーニSQ)。いい演奏。これ以上のものは望み難いかも知れない。