東浩紀編『福島第一原発観光地化計画』

晴。
音楽を聴く。■シューマンピアノ三重奏曲第二番op.80、民謡風の五つの小品op.102(グリーグ・トリオ他)。ピアノ三重奏曲は的確な演奏だが、この曲自体がわかりにくい。

東浩紀編『福島第一原発観光地化計画』読了。第一印象は、活字が小さいなということ。どうでもいいことかも知れないが、どうしてこう小さい活字なのか。それから、アニメやマンガ的な絵。主に若い人たちがターゲットだからこうなっているのだろうが、自分もマンガやアニメを見て育ってきた世代だけれど、如何にもでちょっと辟易した(注:慣れてくればさほどでもなくなった)。自分の感性が古いから、そう思うのだろうが。
 福島第一原発の観光地化については、賛成するにせよ反対するにせよ、本書の中にほぼ論じつくされているなと思った。正直言って自分はその観光地化についてあまり考えたことがないので、ここに意見を書いても無意味だという気がする。ただ、本書に頻出する、「事故が風化するのがこわい」ということ、それはその通りだと思う。東京は福島に近いので、まだ事故の恐怖は鮮明なのかも知れないが、福島から遠い岐阜では、一般人レヴェルでは殆ど風化しているのではないか。自分も、東京発のニュースで話題になるときに気にするくらいで、なかなか事故のことは既にあまり考えなくなっている(例外は、敦賀原発が話題になるとき。敦賀原発が事故を起こせば、自分に住んでいるところも、モロに福島と同じ事態になる)。その意味で、本書の出版は、自分にはいいタイミングだったようだ。だいたい、自分は、原発関連の雑誌(でなくて、本かな)を買ったのは、本書(とその一連の関連本)が初めてなのである。本当に、福島の人が聞いたら、たとえ怒り出さないにせよ、悲しくなってしまわれるのではないか。やはり、マスコミや知識人の関与は、事故の風化を食い止めるために、とても重要だということは確かであろう。本書は、その役割を担っていると思う。

福島第一原発観光地化計画 思想地図β vol.4-2

福島第一原発観光地化計画 思想地図β vol.4-2


音楽を聴く。■ベートーヴェン交響曲第一番op.21(ヴァント1986)。今日はしばしばこの曲の第一楽章が頭に浮かんできていたので、まずティーレマンで聴いてみる。悪くないが、ティーレマンは(VPOなのに)音がいま一つ物足りないので、第一楽章を聴き終えて、ヴァントの演奏に切り替える。ヴァントの演奏は、よく古典的と云われるが、確かにそうだけれど、それだけでは言い足りない。少なくともこのNDR交響楽団(ヴァントの手兵である)との演奏では、しっとりとした落ち着きと、速めのテンポの切れ味のよさが同居している。結局全曲聴いてしまった。終楽章が特に素晴らしい。第二主題など、聴いていてワクワクする。本当にいい曲だな。この曲を初めて聴いた聴衆は、どのように感じたのだろう。たぶん、超カッコいいと思ったにちがいない。
Beethoven: Symphony 1-9

Beethoven: Symphony 1-9