ウォーラーステイン『近代世界システム1600〜1750』/マラマッド『魔法の樽 他十二篇』

曇。
うどん「恵那」にて昼食。ざる蕎麦。
音楽を聴く。■スクリャービン:二十四の前奏曲op.11(レットベリ、参照)。スクリャービン初期の、聴かせる曲だ。もちろん、ショパンをモロに意識していることは明らかだが、既にとても個性的である。スクリャービンは大作曲家だと云わざるを得まい。レットベリのピアノは、スクリャービンに相応しいテクニックと詩情を併せもったもので、このような企画(スクリャービンのソロ・ピアノ曲全集)にピッタリだと云えるだろう。■ミヨー:ブラジルの郷愁op.67(タロー)。ミヨー(参照)は初めて聴く。この曲は軽い感じの曲で、これだけでは何とも云えない。ちょっとラテン音楽風。ミヨーは多作家だったようだ。タローのピアノはまあまあ。悪くはない。

Piano Music

Piano Music

オネゲル:チェロ・ソナタH.20、コントラバスとピアノのための前奏曲H.79。チェロ・ソナタの終楽章がモダン。

図書館から借りてきた、I・ウォーラーステイン『近代世界システム1600〜1750』読了。川北稔訳。岩波書店から出ている方(原書第一巻)を先に読むべきだったな。まあいい。独立して読める。
近代世界システム 1600~1750―重商主義と「ヨーロッパ世界経済」の凝集

近代世界システム 1600~1750―重商主義と「ヨーロッパ世界経済」の凝集

マラマッド『魔法の樽 他十二篇』読了。短篇集。阿部公彦訳。訳者あとがきによると、マラマッドの翻訳者である加島祥造氏が、マラマッドは「奇妙に人の心に滲みこむ」と述べているそうで、訳者もそれを追認しているが(p.390)、自分は本書を読んでいて、何かしら嫌な気分になったことが多くあった。マラマッドは、誰もが持っている、悪というほどではないが小市民的な、薄汚れた心性を、ねちねちと書き込んでいく。そこらあたりが、こちらを嫌な気持ちにさせるのではないかと思う。もちろんそれは、作家の欠点というよりは、文学としてはひとつの利点であろう。優れた文学は多く、人を嫌な気持ちにさせるものだから。そして、マラマッドは決して、素朴な作家ではない。一見そう見えなくても、売れるための技巧を凝らしていて、それだからこそスパイスの利いた短篇が書けるのである。本書から短篇をひとつ選ぶとすれば、自分は「最後のモヒカン族」だろうか。これ、どうしてこんな題がついているのか知らないが、たかり屋のサスキンドのキャラが立っている。ラストも上手い。
魔法の樽 他十二篇 (岩波文庫)

魔法の樽 他十二篇 (岩波文庫)


音楽を聴く。■ハイドン:「ロンドン」トリオ第一番Hob.IV-1、第二番Hob.IV-2(ランパル、スターン、ロストロポーヴィチ)。何とも心地よい演奏。
London Trios 1-4 / Divertisment

London Trios 1-4 / Divertisment