部分群による類別

まず、群Gとその部分群Hが与えられているとする。このとき、Gの元 a,b に関し、
     
というようにして、Gに同値関係〜を導入できる。
(証明)(a)Hは群だから、単位元 e を含んでいる。したがって により a〜a。
(b)a〜b より 。Hは群だから、 の逆元も含んでいる。ゆえに
    
これはすなわち、b〜a。
(c)a〜b, b〜c より、 という関係が成り立っている。Hは群だから、 の積もまたHに含まれている。したがって、
    
このことは a〜c を示している。(証明終)
 なお、a〜b は のことだから、「Hの適当な元 h が存在して b = ah」といっても同じことである。


 群Gの部分群Hが与えられ、上の仕方でGに同値関係を入れると、それによってGの元が「類別」される。Gの元 a が与えられると、a に同値な元は、上により ah(h はHの元)と表されている(a〜ah)。よって、Gの部分集合 aH
    
と定義すると、aH は a を含む「同値類」を与えていることになる。この aH を、「a を含むHに関する左剰余類」という。この同値類 aH を元とする「商集合」を G/H と書く。すなわち
   
である。
 単位元 e を含む同値類は、eH = H によりHそのものである。また、a と b が同値でなければ、aH と bH は異なる同値類となり、共通部分をもたない。すなわち である。ゆえに
   
と書ける。