交代群

n 次の対称群 の中で、偶置換全体の作る群を と表し、n 次の「交代群」という。
 対称群の中で、偶置換どうしは掛けあわせても偶置換であり、またその逆元も偶置換である(参照)。したがって、偶置換σを取って と表してみればわかるように、単位元 e も偶置換である。すなわち、対称群の中で偶置換全体を集めると群になり、それを交代群と呼ぶわけである。


 ここで、位数 n!/2 の群である。
 証明しよう。σを偶置換とすると、それにもう一度互換 (1 2) をほどこした (1 2)σは奇置換である。これは、σから (1 2)σへの対応を与えており、その対応は偶置換の集合から奇置換の集合へのそれとなっている。このときσ≠τならば、(1 2)σ≠(1 2)τだから、この対応は一対一であり、よって
     偶置換の個数≦奇置換の個数
となる。次に、奇置換の集合から偶置換の集合への対応を同様に考えると、同じく
     奇置換の個数≦偶置換の個数
となって、結局偶置換の個数と奇置換の個数は等しくなる。
 そこで、 の位数は n! だった(参照)から、偶置換の個数はその半分の n!/2 でなければならない。


(例) は次の通り。位数は3。