アレクサンドル・チャヤーノフ『農民ユートピア国旅行記』

晴。
県営プール。今日から冷水期間で、料金が半額になっていた。外の五〇メートル・プールも使えるのだな。

アレクサンドル・チャヤーノフ『農民ユートピア旅行記』読了。一九二〇年にソビエト・ロシアで発表された、ユートピア物語。ソビエト自体がユートピア物語のようなものだが、それに反する形で「ユートピア」を描いているわけである。この物語では、都市というものがなく、小作農が中心となる世界である。はっきり云って自分の手に負えない分野であるが、もしこれから農業を世界の中心に据えるというのが重要な思想であるのなら、どうもそれに否定的な読後感が与えられるように思う。本書では農業は資本主義に組み込まれていないようだが、農業が重要なら、このやり方ではダメだろう。しかし、グローバル経済の中では、なかなか農業はその力を発揮できないような気もする。農業と市場というのは上手く両立できるのか。現状では、農業は工業とも、サービス業とも本質的な差は想定されていない。そうした農業しか、生き残ることはできないのだろうか。別にそれで何か問題があるの、というのが一般的なコンセンサスか。それにしても、本書を正確に読むための基礎知識が、大幅に不足していると痛感せざるを得ない。こういうことは、政治の季節には既に散々論じられたことなのだろう。そこらあたりの共有知識がなくなってしまっているのは、マズいと思わないでもない。

農民ユートピア国旅行記 (平凡社ライブラリー (788))

農民ユートピア国旅行記 (平凡社ライブラリー (788))


音楽を聴く。■モーツァルト:ピアノ協奏曲第二十三番、第十九番(ペライア)。■バッハ:ゴルトベルク変奏曲クリストフ・ルセ)。この曲は、グールドがピアノで弾いた二つの録音があまりにも有名なので、最近はすっかりピアノで弾かれることが多いが、もちろん元々はチェンバロのための曲である。で、自分はチェンバロで聴くのは初めてだった。がっちりとした、とてもいい演奏だと思う。強度もすごくて、聴き終わったときはさすがに疲れた。早めのテンポなど、グールドの解釈はこの演奏にも影響しているような気がする。というか、影響を受けないことは殆ど不可能だろう。結論としてはやはりピアノで弾いた方がいいと思うが、チェンバロ演奏の方がよくわかる部分も少なくない。なお、繰り返しはたぶんすべて弾かれていると思う。
バッハ:ゴルトベルク変奏曲

バッハ:ゴルトベルク変奏曲