高橋源一郎『「悪」と戦う』/吉本隆明『マス・イメージ論』再読

曇。
うどん「恵那」にて昼食。恵那ころ蕎麦。

高橋源一郎『「悪」と戦う』読了。文庫解説の中森明夫ではないが、悲しすぎるだろう。著者がぶち当たっているのは、自分がイライラしているところと同じものかも知れないが、その対応が才能の差だな。三歳児が世界を救うために戦う(って不思議な戦いなのだが)なんて、悲しすぎる。パパもママも弟も、いなくなってしまう。「悪」は、超絶美少女のミアちゃんだ。ミアちゃんは、世界の「正義」と「偽善」の象徴なのだろうか。我々はあまりに「正義」の言説の中に生き過ぎて、窒息しそうになっている。どうして三歳児のランちゃんが、戦わなければならないのか。今や「正義」と「偽善」に染まっていないのは、三歳児しかいないのか。しかし、最後の並行宇宙論はいったい何なのだろう。著者は何にたどり着いたのか。それともそれは、ただの冗談?
 併録の「魔法学園のリリコ」は、続きが読みたいです。これでオシマイとは、先が気になり過ぎる。

吉本隆明『マス・イメージ論』を読み返す。昔読んだときは、本当に何もわかっていなかったのだと痛感した。八〇年代になって、我々の意識世界に何かが侵入してきた。その様子を、著者は正確に描き出している。自分にはまだわからない部分も多く、そのうちまた再読するような気がする。
マス・イメージ論 (福武文庫)

マス・イメージ論 (福武文庫)


最近の「極東ブログ」には凄みがある。自分は読んでいないが、本をお書きになったせいだろうか。以前は変にひねくれた感じがあって、時々読んではいたものの好きになれなかったのだが、今は好き嫌いを越えて読ませるところがある。こうなると、元々頭のいい方なので、格段に印象が違ってきた。シリアスな文章も軽いのもいい。