和田幹男『死海文書 聖書誕生の謎』

晴。
音楽を聴く。■ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第三番、第四番(リヒテル1960, 1975)。恐らく第三番はスタインウェイ、第四番はヤマハだと思うが、どうしてリヒテルヤマハのピアノを愛したか、よくわかる演奏になっている。もちろん第三番も素晴らしい演奏で、聴いてよかったわけだが、かなり辛口一献(?)という感じだ。ヒリヒリする。それに比べると第四番は、やわらかく美しい音で、リヒテルは音の美しさで勝負するピアニストではないのにも拘らず、冒頭などうっとりするほど美しい。それに、改めて確認したが、リヒテルは自分を出すよりは、自分を消して音楽に奉仕するタイプのピアニストなのだ。恐らく、やろうと思えばどんな風にも弾けるのだと思う(ものすごく練習すれば、グールド風にも弾けると本人が言っていたくらい)。それにしても、リヒテルのライブ音源は面白い。膨大な量が既に発売されているが、皆考えることは同じなのだな。こんな音源が出てくるくらいだから、まだ何かあるかも知れないと期待してしまう。スクリャービンソナタとか、どこかから出てこないかな。■モーツァルト交響曲第四十一番(カザルス)。終楽章の迫力に感動。曲もすごいし、演奏もすごい。生命力ではちきれんばかり。

和田幹男『死海文書 聖書誕生の謎』読了。「死海文書」とは、二〇世紀の半ばに、死海近くのクムラン洞窟から発掘された、旧約聖書を中心とする古い(おおよそイエスの生きた時代に近い)写本の一群を指す。本書は、ユダヤ教キリスト教にさほど知識のない読者にもわかるように、やさしく書かれている。死海文書についても同様だ。個人的に面白かったのは、旧約聖書の現代の本文が、筆写する過程で殆ど元のまま伝えられてきたことや、いわゆる「七〇人訳聖書」の成立年代が相当に古く、現在の旧約聖書よりも古いエディションから訳されていることなどであろうか。総体的に、死海文書に関する、重要なトピックに絞って書かれた本だと云えるだろう。

死海文書 聖書誕生の謎 (ベスト新書)

死海文書 聖書誕生の謎 (ベスト新書)

次々に試練が来るなあ。まあ、もっとつらい人はたくさんいるよね。凹まないように。