日曜日。晴。
竹森俊平『通貨「円」の謎』読了。通貨「円」特殊論。日本経済が危機に陥ると、どうして円高になる(円が強くなる)のか。普通というか、常識的には、逆であるべきなのに。著者の答えは、日本企業が海外に資産を持ち過ぎている(?)からである。経済が危機に陥ると、企業はドルを円に替えて、資金を持とうとするわけだ。バブルのとき、企業は国内で資金を膨らませる一方で、海外にも投資するという器用なことをやっていた。
まあ、それが本当なのかどうかは、自分の判断を超えるところである。著者は(著者自身が云うように)「一応」リフレ派ということだが、結構リフレ派の主張に対し皮肉っぽい。それにしても、本書とはあまり関係がないが、つくづく思うことに、とにかく現在、世界的に見て、資金は有り余っているのだ。常に鵜の目鷹の目で、投資先を探し回っているのである。投資できると思えば集団でどっとやってきて、めちゃくちゃに資金を投入し、危険だと思えば一斉にさっと引いてしまう。こいつら、基本的に野放し状態である。何とももううんざりさせられる話である。
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なお、いわゆる「ボーデの法則」は、科学的に何の意味もない。また、ヘーゲルは「立方を平方に還元する」(p.367)と云い、ケプラーの第三法則はその具現だとするが、まったくのこじつけである。訳者は解説で、この論文は「…しかしながら概してケプラーの天体運動の法則を賞揚し、ニュートン力学を批判することを主旨とするユニークな自然哲学の試みとして、いまも思想史的意義を失うものではないだろう」(p.521)と述べているけれども、「思想史的意義」というのはどういう意味かわからないが、ニュートン批判として科学的にも思想的にも、この論文は何の価値もないと自分は思う*2。
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*1:ヘーゲルは、ニュートンが「数学的な相互関係を論述しようとする」際に、どうして「力」という語を使用したのか、一般的にわけがわからないと見られている(p.325)、などと云っている。もちろん彼にもわけがわからないのである。
*2:本当にヘーゲルの述べていることはデタラメが多いのだ。例えばこんなのはどうか。「…実際には、石を地上に落下させる重力の性質と、天体において働く重力、とくにわれわれの太陽系に属していて、しかも地上に落下することのない天体のうちにみられる重力の性質とは、明らかにまったく異なるものであるがゆえに…」(p.351)とあるが、お気の毒にも、二つの力はまったく同じ性質のものなのである。