C・サイクス『ファインマンさんは超天才』

晴。
C・サイクス『ファインマンさんは超天才』読了。大貫昌子訳。ファインマン本人と、彼の周囲の人たちに聞いた、インタビュー集である。ファインマン本はどれも面白いが、本書も巻を措く能わざる面白さだった。家族や知人たちの話のせいで、ファインマンという「超天才」を、より多面的に知ることができる本になっている。ちょっと思ったのだが、この人は「野生の思考」を持った物理学者だったのではないか。中沢さんに聞いてみたい気がする。いずれにせよ、これはきちんと「ファインマン物理学」を読まねばならぬなと、思わされた。
 個人的には、最終章「死ぬこと」にも感銘を受けた。しかし、ファインマンさんの最後の言葉が、「この死ぬってことは何とも退屈きわまるよ」(p.364)だったというのには、強烈な印象を与えられた。これを聞いていた彼の妹は、彼のユーモアだと解釈しているが、果してどうだったのだろう。自分も気になってしまう。

ファインマンさんは超天才 (岩波現代文庫)

ファインマンさんは超天才 (岩波現代文庫)


2012年秋・冬_36