ポール・クルーグマン『さっさと不況を終わらせろ』

晴。寒い。
ポール・クルーグマン『さっさと不況を終わらせろ』読了。山形浩生訳。まず、訳者の解説を参照してほしい。本書は基本的にはアメリカの話で、日本についての言及はほとんどない。クルーグマンは、日本がいわゆる「流動性の罠」に陥っていることを、初めて指摘した学者であるのだが。もっとも、この「流動性の罠」は、今や日本だけのことではないので、これについては説明がある。また彼は、EUが単一通貨ユーロに移行したことは、良からぬ選択だったことを指摘する。EU各国が独自の金融施策を取れないことが、事態を悪化させるというのだ。しかし、ユーロを廃止し、各国独自の通貨体制に戻すこともできない。クルーグマンによれば、処方箋はないわけではないそうだ。
 クルーグマンは、現在の不況は、人間の力(あるいは経済学の知見)で必ず克服できるものであると強調する。それは特に、断固とした姿勢で行わねばならない。日本は今、喜ばしいことに、本格的なリフレ政策が取られようとしてるが、株価の上昇などは、首相の断固たる姿勢に負うところが大きい。これを見ても、実際に何をやるかはもちろん重要だが、明確な意志がとりわけ重要だということが、日本の様子からもわかるのだ。

さっさと不況を終わらせろ

さっさと不況を終わらせろ


音楽を聴く。■ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第三番(フェラス、バルビゼ)。■ブラームスピアノ三重奏曲第三番(ルービンシュタインシェリング、フルニエ)。■ブラームス:ピアノ四重奏曲第三番(ヴァーシャーリブランディス他)。