ヴァレリー・アファナシエフ『ピアニストのノート』

雨。
ヴァレリー・アファナシエフ『ピアニストのノート』読了。あまりにも過激だ。ピアニストは、スター・システムによって無能な音楽家が世界中でもて囃されている現状を、口を極めて糾弾する。まあそんなに怒るなよ、と云ってやりたくなるほどだ。さて、クラシック音楽界の現状がそうなのか、自分は知らない。
 最近のアファナシエフの活躍はどうなのか知らないが、自分も持っている、かなり前の彼のCDで聴く演奏は、テンポの遅さで有名だった。彼のピアノは深く厳しい音を持っていて、確かに美しかった(後で聞き直してみよう)。そして、ピアニストはまた小説家でもあり、彼の小説を自分は読んだことはないが、かなり変ったものだったらしい。本書は選書メチエのために書かれたということだが、はっきりと文学的であり、時として曖昧模糊、難解な部分もある。とにかく、現状に怒っているのはわかるのだが。
 本書では、作曲家はベートーヴェンシューベルトに関して詳しい。もっともこれは今そうだということと思われ、彼が他にも色々とレパートリーを有しているのは確かだ。さて、シューベルト変ロ長調ソナタベートーヴェンのop.49-1… 彼の弾くそれらのディスクは持っていないのが残念だ(というか、録音しているのかも知らない)。そうそう、本書でも「TAT TVAM ASI」に出会った。ちょっとしたシンクロニシティ

ピアニストのノート (講談社選書メチエ)

ピアニストのノート (講談社選書メチエ)

安永祖堂を読む。