河合隼雄『日本文化のゆくえ』

晴。
プール。
河合隼雄『日本文化のゆくえ』読了。自分はこれでもう二十年以上河合隼雄の著作を読み続けてきており、自分の考え方の根本に大きく影響を受けてきた。本書もまた素晴らしい本である。死というものを改めて自分の問題として考えさせられた。もちろん日本文化についての本なのだが、叙述は様々なことに及ぶ。いま河合氏が生きておられたら、日本の現状についてどうお考えになるか、是非聞いてみたい気がする。日本人の魂の貧困化は、留まるところを知らない。リスペクトということを知らない子供たちが、続々と育っている。本書に述べられているとおり、「和魂洋才」という方法が限界に達してしまったのだ。
 自分には、河合先生の死に方はショックだった。しかし今では、自ら凡庸な、神秘的でない死に方をすることで、凡庸な我々に死を考えさせるよう仕向けたのかなと、ちょっとそんな気もするようになった。前にも書いたが、井筒俊彦先生の死に方も、事故としか云いようのないものだった。もう、限りなく深い人たちが、深い死に方のできなくなった時代なのか。