武満徹を聴く/ジョン・バージャー『イメージ』

日曜日。晴。
昨日昼間寝ていたので、午前三時半頃に起きてしまう。
音楽を聴く。■マーラー交響曲第九番(インバル1986)。安全運転。金管がよく鳴る。終楽章はよかった。■モーツァルト:ピアノ・ソナタ第四番(ピリス新盤)。もっとタッチが柔らかい方がいい。終楽章はもっと弾むように。
武満徹を聴く。沼尻竜典指揮の「クロッシング」は、武満の魅力を満喫できる好演奏だ。ヴィブラフォンやピアノの金属的な響きが美しい。こういうのこそ、中毒になりそうな武満の演奏である。これも沼尻指揮で「弧(アーク)」も、ヴァレーズ風のうるさい音響塊は閉口だが、特に第二部のキラキラ感がいい。が、小泉和裕指揮の「オリオンとプレアデス」は、指揮者が武満を演奏できるレヴェルに達していなくて、ピントのボケた演奏になっている。彼には、武満の魅力がまったくわかっていないのではないか。24分18秒の間、ひたすら理不尽な思いで苦痛で仕方がなかった。上沼昇のチェロ独奏もピントはずれ。武満の演奏では、至る所に中心があるように演奏せねばならないのだ。

ARC 武満徹 1960s-80s

ARC 武満徹 1960s-80s

昼過ぎ、カルコス。

ジョン・バージャー『イメージ』読了。伊藤俊治訳。副題「視覚とメディア」。原著の出版は一九七二年で、絵画作品は、何の構えもいらずただ見ればよいといった仕方では扱えないことを、既に指摘している。例えば、ゴッホの絵を、それがゴッホ自殺前の最後の絵だと知って見るとき、無知なままであったときと同じようには、我々はもう見られないといったように。また、フェミニズム以降のヌード鑑賞、写真と絵画など、今では常識となっているような議論もなされている。
 原著はロングセラーになっているらしい。本訳書には、訳者による大幅な追加論考も収められている。
イメージ―視覚とメディア (ちくま学芸文庫)

イメージ―視覚とメディア (ちくま学芸文庫)