A・W・ムーア『無限』

朝起きたら、積もっているし、深々と降っているし。
2012年秋・冬_6

音楽を聴く。■モーツァルト:ピアノ・ソナタ第十四番、第十七番、第十八番(ピリス新盤)。第十七番の終楽章がいい。第十八番はシンプルだがむずかしい曲で、ピリスは弾けていないが、モーツァルトをおもちゃにしていたグールドすら、唯一手探りで弾いているほどの曲だから、仕方がないと云えばそうだ。この曲はグルダの一九七八年の録音が十全に弾き切っていて、これを聴くとグルダのすごさが改めて偲ばれる。■モーツァルト:ピアノ・ソナタ第十八番(アラウ)。うーむ。聴いているだけで昇天してしまいそうになるくらい美しい。さすがだ…。

A・W・ムーア『無限』読了。「無限」についてのモノグラフとは。ソクラテス以前の自然哲学者たちから始まって、おおよそウィトゲンシュタインまでを扱っている。哲学的な無限と、数学における無限を題材としているが、どちらかと云えば前者が主だ。けれども、数学に関する造詣も深く、実際個人的には、カントール以降の話が面白かった。それから、第十一章の「レーヴェンハイム-スコーレムの定理」というのは初耳で、ここの理解は我ながら怪しい。ゲーデルの(不完全性)定理の記述は、これでいいのかなあ。ゲーデルの定理は難解で有名だからね。個人的には、無限小や超準解析の話題をもっと詳しく書いて欲しかった。物理学はほとんど無視なのもさみしい。全体として、相当に歯応えのある書物だ。文庫解説は野矢茂樹

無限  その哲学と数学 (講談社学術文庫)

無限 その哲学と数学 (講談社学術文庫)