ピランデッロ『月を見つけたチャウラ』/孫崎享『日本の国境問題』/ゲルギエフ指揮のチャイコフスキー「悲愴」

雨。
プール。
音楽を聴く。■モーツァルト:セレナーデハ短調K.388。突然聴きたくなった。この曲は弦楽五重奏版もあるが、こちらの管楽五重奏版の方が圧倒的に好きだ。木管の響きが心地よい。曲想も木管にぴったりなように書いてある。■ショパンマズルカ集(ミケランジェリ)。もっと音楽に浸っていたいのに、一曲が短すぎるよ! マズルカ全集が欲しいなあ。一応アシュケナージ盤は持っているのだが、他にいいのないかねえ。

ピランデッロ『月を見つけたチャウラ』読了。関口英子訳。ピランデッロは劇作家として有名であるが、自分はまだ読んだことがない。本書は短編集で、面白いと云えばそうなのだが、どれもペシミスティックな印象を与えられるものである。人生の虚しさ、徒労感、そういう感じが全体を覆っている。自分が自分と思えない、生きているという感覚に乏しいという、いわば「離人症」的な不安定さもある。「自力で」なる短篇は、自殺を決意した男が、急に生をいきいきとしたものに感じ始める、というような内容だが、これも肯定感はなく、逆説的だ。ただ、全体的に軽妙で、ユーモア umorismo の類を感じさせはする。なお、訳者解説は勉強になった。

月を見つけたチャウラ―ピランデッロ短篇集 (光文社古典新訳文庫)

月を見つけたチャウラ―ピランデッロ短篇集 (光文社古典新訳文庫)

図書館から借りてきてもらった、孫崎享『日本の国境問題』読了。これは論争的な本だ。賛成するにも反対するにも、とりあえず読んでおいた方がいい書物である。日録に書く。
 追記。アマゾンのレヴューに目を通したが、予想通りだった。本書に反対の立場のレヴューの口汚さ! 本書に反対するのはまったく構わないが、この様子では語るに落ちたというものだ。何の参考にもなりはしない。
日本の国境問題 尖閣・竹島・北方領土 (ちくま新書 905)

日本の国境問題 尖閣・竹島・北方領土 (ちくま新書 905)


ゲルギエフはどうかと思って、チャイコフスキーの「悲愴」交響曲のCDを借りてきたのだが、選んだ曲がまずかった。これではたぶん、指揮者の実力はわからないよね。ゲルギエフの指揮はなかなかカッコいい感じだが、この曲はまるでメロドラマ映画の音楽みたいと云うか。でもまあ、何の得るところもなかった、というわけではなかったけれど。だいたいこの曲、個人的な話だが、もう十年間くらい聴いていなかったような気がする。極たまに聴くなら、まあいいと思う。それから、併録の幻想序曲「ロメオとジュリエット」は本当につまらない曲。退屈で、聴くのに忍耐を要した。
チャイコフスキー : 交響曲 第6番 ロ短調 作品74「悲愴」

チャイコフスキー : 交響曲 第6番 ロ短調 作品74「悲愴」