道端齊『生元素とは何か』/絲山秋子『イッツ・オンリー・トーク』/シマノフスキの交響曲第一番&第四番

日曜日。晴。
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道端齊『生元素とは何か』読了。生物を元素(生元素)という観点からアプローチ した本。一般書の体裁は採っているが、かなり専門的で、教科書としても使えるくらいだ。鉄、銅以下、微量生元素の話がおもしろい。かかる学問分野を、生物無機化学という。これはそれほど古い分野ではなく、発展したのは最近であるらしい。
 なお、枝葉の話だが、石油は通説としては、生物を経由して有機的に造られたものだと従来考えられてきたけれども、無機的な化学反応によって造られたという説も、最近有力になってきたという。もしこれが正しければ、石油の埋蔵量に関して、これまでの予想がちがってくることも考えられる。

生元素とは何か 宇宙誕生から生物進化への137億年 (NHKブックス)

生元素とは何か 宇宙誕生から生物進化への137億年 (NHKブックス)

絲山秋子『イッツ・オンリー・トーク』読了。表題作はデヴュー作である。既に絲山節全開で、その後の作と比較しても見劣りしない。「サセ子」でぶっきら棒だが繊細な女性が主人公で、いかにも著者らしい描き方になっている。自分は女性の性欲というものがどうも苦手なので、いまひとつわからない感じも残るのだが、それでも絲山秋子は好きな作家だ。まあじつは、どちらかというと、併録の「第七障害」の方が共感できるのだが。傑作というほどではないけれど、さらりと纏まった佳品である。
イッツ・オンリー・トーク (文春文庫)

イッツ・オンリー・トーク (文春文庫)


東京事変を聴いてみる。これはいい。底を流れる抒情性が聴かせる。また、キーボードの伊澤一葉っていうのがなかなか。
大人(アダルト) (通常盤)

大人(アダルト) (通常盤)

シマノフスキ交響曲第一番、第四番その他を聴く。第四番「協奏交響曲」がすばらしい。一応「交響曲」とはなっているが、ピアノ協奏曲のようでもある。どこかプロコフィエフを思わせるようなところがあって、無調ではないが現代的なのに、一種の「甘さ」のようなものがある。複雑な曲にもかかわらず、(いい意味での)通俗性を持っているのだ。アントニ・ヴィト指揮、ワルシャワフィルハーモニー管弦楽団も好演。
シマノフスキ:交響曲第1番, 第4番 他

シマノフスキ:交響曲第1番, 第4番 他