曇のち雨。
渡辺幹雄『リチャード・ローティ=ポストモダンの魔術師』読了。文庫本で600頁に垂んとする力作。ローティは以前読んで、どうも気に入らなかったというか、腹が立つほどだったが、本書を読んで多少認識があらためられた。ローティは「真理はない」とか馬鹿なことをいうのであるけれども、その含蓄はなかなか深いことが納得せられたわけだ。本筋の議論と少しズレるかもしれないが、「エスノセントリズム」という語を肯定的に使えるとは、ちょっと虚を突かれたところである。つまり、誰も自分に与えられた場所からしか出発できないということ。そこから普遍を目指していくしかないのである。何かしら、吉本隆明の「井の中の蛙」の話を思い出させるところがある。
なお、著者は自分の一つ年上であるようで、かなり優秀だと思う。これからも御活躍を期待したい。
しかし、デイヴィドソンはやはり読まなければいけないかな。
リチャード・ローティ=ポストモダンの魔術師 (講談社学術文庫)
- 作者: 渡辺幹雄
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/09/11
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真珠湾奇襲は、偶然とアメリカ側の不手際が重なり*1、また日本のきわめて優秀な攻撃があって、あれほどの大戦果になった。後への影響も考えれば、却って上手く行きすぎたくらいではないか。事前の机上演習では、すべて失敗だったという。
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大井和郎の弾く、ハチャトゥリアンのピアノ小品集を聴く。ハチャトゥリアンを聴くのは初めてだが、意外にも叙情的な甘い曲が数々あって、結構気に入った。完全に伝統的な、調性音楽である。大井和郎は自分には凡庸なピアニストに聞こえるが、知らない曲を面白く聴かせてもらったことには感謝したい。
- アーティスト: 大井和郎,ハチャトゥリアン
- 出版社/メーカー: 徳間ジャパンコミュニケーションズ
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