久生十蘭『十蘭錬金術』

日曜日。晴。
車で、父を会合に送っていく。カルコス。
久生十蘭『十蘭錬金術』読了。讃嘆しきり。「公用方秘録二件」には、平手打ちを食ったように目が覚めた。(これってフィクションなのだろうか。)考えてみると、十蘭には、明治維新で開国を強いられた日本の民の、その武士道的な誇りが底流になっているような作品が、結構あるような気がする。それとはちょっと違うかも知れないが、十蘭の小説には、意外にも純愛をテーマにしているものが少なくないと、澁澤龍彦が指摘していたのを思い出す。
 その他、見事な短篇ばかりだが、特に「勝負」を挙げておこう。河出文庫の十蘭アンソロジーは、これで五冊目だが、どこまで続くのだろう。ありがたいシリーズである。

十蘭錬金術 (河出文庫)

十蘭錬金術 (河出文庫)

いまひとつ頭の調子が悪いなあ。