晴。
エルヴェ・ド・サン=ドニ侯爵『夢の操縦法』読了。立木鷹志訳。自分は国書刊行会に特別な思い入れはないが、こういう頗る面白い奇書を翻訳・出版してくれるのには、脱帽する。本書については、多くの人と同じように、自分も澁澤龍彦経由で知ったのである。本書は、澁澤の紹介で予想していたよりも面白かった。夢の本質についてに考察に関しては、ベルクソンの『物質と記憶』にも接続できそうである。すなわち、著者は脳細胞というのは、ヴァイオリンの弦のようなもので、掻き鳴らす音楽そのものではないというのである。自分もまさしくそうであると思う。では記憶とは何なのか。これはその解明には、如何にいまに脳科学の進歩が早くても、まだまだ時間がかかるものと思っている。精神は、たとえ眠っていても、その活動が已むことは決してないのだということ。また、夢の展開は、実際は結論から原因に向って作られているのだということ。これらも納得できる。
- 作者: エルヴェ・ド・サン=ドニ,立木鷹志
- 出版社/メーカー: 国書刊行会
- 発売日: 2012/03/26
- メディア: 単行本
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- 作者: 佐々木中
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2012/08/18
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