エルヴェ・ド・サン=ドニ侯爵『夢の操縦法』/佐々木中『この熾烈なる無力を アナレクタ4』

晴。
エルヴェ・ド・サン=ドニ侯爵『夢の操縦法』読了。立木鷹志訳。自分は国書刊行会に特別な思い入れはないが、こういう頗る面白い奇書を翻訳・出版してくれるのには、脱帽する。本書については、多くの人と同じように、自分も澁澤龍彦経由で知ったのである。本書は、澁澤の紹介で予想していたよりも面白かった。夢の本質についてに考察に関しては、ベルクソンの『物質と記憶』にも接続できそうである。すなわち、著者は脳細胞というのは、ヴァイオリンの弦のようなもので、掻き鳴らす音楽そのものではないというのである。自分もまさしくそうであると思う。では記憶とは何なのか。これはその解明には、如何にいまに脳科学の進歩が早くても、まだまだ時間がかかるものと思っている。精神は、たとえ眠っていても、その活動が已むことは決してないのだということ。また、夢の展開は、実際は結論から原因に向って作られているのだということ。これらも納得できる。

夢の操縦法

夢の操縦法

佐々木中『この熾烈なる無力を アナレクタ4』読了。いいねえ。才能は人を元気にさせる。高橋源一郎との対談が特に面白かった。しかし、今どきこんなバロックな人は少ないよな。
この熾烈なる無力を ---アナレクタ4 (アナレクタ 4)

この熾烈なる無力を ---アナレクタ4 (アナレクタ 4)