菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール『野生の思考』

菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラールによる『野生の思考』を聴く。ペペ・トルメント・アスカラールは、菊地成孔の結成した変った編成のオーケストラで、サキソフォンバンドネオン、ハープ、弦楽四重奏団、ピアノ、ウッドベース、パーカッション2名から成る。曲の構成は、菊地成孔の作曲した組曲「キャバレー・タンガフリーク」、中島ノブユキの作曲した組曲ヴィオラトリコロール」、あとは中島ノブユキの編曲による「はなればなれに」「チェルシー・ブリッジ」「プラザ・レアル」「ファム・ファタール」のカヴァーである。
 曲はどれも現代音楽なのか、ラテン音楽なのか、奇妙なハイブリッドであるが、退廃した雰囲気がとてもいい。中島ノブユキの作曲・編曲は、特異な編成を充分に生かした、見事なものである。ラテンと現代音楽をここまで上手く溶かし合わせているとは、魔術的だ。
 しかし、何よりもすばらしいのは、菊地成孔作曲の「キャバレー・タンガフリーク」だ。強烈に官能的で、ハープもバンドネオンもサックスも痺れる。特に組曲の最後、「夜の全裸」はとてつもない名曲だ。じつを云うと、この曲をYou Tubeで視聴して、感電してしまったわけである。下に貼り付けておく。どういう経緯でこの映像が作られたか知らないが、格好よすぎて死ぬなよ。

アルバムはこちら。蛇足しておくと、ライナーノーツは必読。

野生の思考

野生の思考