澁澤龍彦『私の少年時代』/児玉聡『功利主義入門』

晴。
大垣。イオンのコメダ珈琲にて昼食。ミックストーストとホットコーヒー。
澁澤龍彦私の少年時代』読了。ほとんど既読なような気がする。もう少し澁澤のファンが喜ぶようなアンソロジーにしてほしい。

児玉聡『功利主義入門』読了。(以下、八つ当たりぎみですが。)倫理学って常識を疑うのですかねえ。僕は常識の奥深さというか、不思議さの方がよほど気になるのですが。どんなに論理で詰めても、倫理というのは最終的に、「常識」に頼ったコンセンサスが必要なのではないのか? 論理はもちろん大事だけれど、論理だけによる「正しさ」なんて、そんな危険なものはないのではないのか?
 それから、本書にかぎらず、倫理学の本は、「死」を例にとったものがあまりにも多いが、皆「死」ってわかって言っているの? 正直言って、僕には「死」は軽々しくわかったと言えないものだ。そう簡単に「死生観」とか問わないで欲しいと思う。「死」というものが軽々しく言えないからこそ、「ご冥福をお祈りします」などという紋切型が存在し、大切な役割を果すのでしょう。もちろん、「死」について論理的に詰めるというのがいけないと云っているわけではないけれど。
 それから、サンデルなどでもそうだが、「どんな時でも嘘をついてはいけない」というカントの命題*1を馬鹿にするのが流行っているが、これでカントの『実践理性批判』が詰まらぬものだと思われては残念。当り前だが、サンデルや本書を読むより、まずカントを読むべきだと思う。すべてはそれからでしょう。
功利主義入門―はじめての倫理学 (ちくま新書)

功利主義入門―はじめての倫理学 (ちくま新書)

*1:ちなみにこれは、『実践理性批判』にあるものではない。