福田歓一『ルソー』

曇。散髪。
福田歓一『ルソー』読了。

ルソー (岩波現代文庫)

ルソー (岩波現代文庫)


シューマンのピアノ四重奏曲op.47を聴く。グールドのピアノと、ジュリアードSQのメンバーによる録音である。ちょっと記憶が定かでないが、確かこのセッションのとき、ジュリアードのメンバーはグールドにひと言の口も利かなかったのではなかったか。グールドはこの録音、結構気に入っていたらしく、ジュリアードのメンバーの仕打ちは、よくわからなかったとかなんとか。いずれにせよ、グールド唯一のシューマンである(グールドはシューマンを、ロマン派のクズと言っていた)。グールドもジュリアードSQも、共にモダニズム演奏家という分類に入れるのがオーソドックスだと思われるが、両者の与える印象はまったくちがう。ジュリアードSQはたっぷりとした、豊麗な響きを聞かせるが、グールドのはトイ・ピアノのようなペラペラの音だ。ジュリアードSQがじっくり弾きたいところでも、グールドは機械のようなイン・テンポで押し切ってしまう。ライナーノートで「ミスマッチ」だと云われている所以である。
 でもじつはこれ、とても刺激的な演奏なのだ。丁々発止、すごい緊張感の中で演奏されていて、これも室内楽を聴く楽しみであるだろう。それに、ふつうに聞いてとても美しい演奏である。同じシューマンピアノ五重奏曲が、このメンバーで録音されなかったのは残念。
Schumann: Piano Quartet; Brahms: Piano Quintet Glen Gould Edition

Schumann: Piano Quartet; Brahms: Piano Quintet Glen Gould Edition