晴。
日高敏隆『チョウはなぜ飛ぶか』読了。日高先生がアゲハチョウの研究を、試行錯誤を交えながらやっていくところを書いた本だ。既に研究が済んでいるのではなく、まさしくその過程を楽しむ本になっている。そしてまた、研究の目的が、素朴な疑問の延長上にあるのがいい。アゲハチョウは飛ぶ道が決っていて、それを「チョウ道」というのだが、実際、これに関する疑問は、先生が子供の頃から抱いていたものなのだ。その他、アゲハチョウのオスは、メスのどこに惹きつけられて寄ってくるのかとか、アゲハチョウのメスは、どうして特定の種類の樹に卵を産み付けているのかとか、まことに楽しい。最後の研究など、実験結果の解釈に困ってしまって、研究はヤブの中に入ってしまうのだが(しかし、どうしてあんな不思議な結果になったのだろう)、研究とはそう上手くいくことばかりではないのだ。
中学生でも読める先生のやわらかい文章には、どこかあはれを誘うところがある。先生も帰らぬ人になってしまったことを思うと、何だかさみしくなってくる。
- 作者: 日高敏隆
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1998/06/26
- メディア: 単行本
- クリック: 18回
- この商品を含むブログ (3件) を見る
なお、志賀浩二先生の本はだいぶ読んでいるので、サイト内検索をかけたら結構出てくる筈。
- 作者: 志賀浩二
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2012/05/01
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (4件) を見る