シェレンベルガーの「フランス・オーボエ名曲集」/ヨブ記/ピエール・ガスカール『けものたち・死者の時』

雨のち曇。
モーツァルト弦楽四重奏曲第十八番や、ベートーヴェンピアノ三重奏曲第一番を聴く。
「フランス・オーボエ名曲集」なるディスクを聴く。オーボエシェレンベルガー、ピアノはケーネン。プーランク以外は初めて聴く曲ばかりだ。冒頭のサン=サーンスオーボエソナタから、耳が惹きつけられる。曲云々よりも、オーボエの朗々たる響きがいい。この曲、オーボエの甘くやわらかい音を堪能するには、シンプルでなかなかいいのではないか。プーランクソナタは名曲。もう少しエスプリを利かせるというか、音色に変化がある方が、よかったかも知れない。デュティユーのソナタは初めて聴くが、これもなかなかの傑作ではないか。デュティユー、もっと聴いてみたくなりました。全体的に、シェレンベルガーオーボエの響きが、生理的にとても気持ちがよい。ボザやベネットも、このオーボエで聴く限り悪くない。知らない曲をいい演奏で楽しめて満足です。

フランス・オーボエ名曲集

フランス・オーボエ名曲集


岩波文庫旧約聖書 ヨブ記』読了。
旧約聖書 ヨブ記 (岩波文庫 青 801-4)

旧約聖書 ヨブ記 (岩波文庫 青 801-4)

ピエール・ガスカール『けものたち・死者の時』読了。渡辺一夫他訳。短篇集「けものたち」には、湿っぽい獣臭さや、血の匂いがむんむんしている。一篇挙げれば、下水道に住み着く巨大な鼠・ガストンの増殖を描いた、「ガストン」が面白かった。いるかどうかもわからない鼠・ガストンの名が、人びとの間で勝手に増殖・伝達されていくうち、現実の鼠も増殖していくという話で、カフカ風のところもある。「死者の時」は中篇で、第二次世界大戦のときの、著者のポーランドの懲戒収容所での体験が元になっている。わりと周縁的なエピソードが綴られているという印象だ。いずれにせよ、どれも粘っこくて、重苦しい小説になっている。
けものたち・死者の時 (岩波文庫)

けものたち・死者の時 (岩波文庫)