ペルシウス、ユウェナーリス『ローマ諷刺詩集』/港千尋『芸術回帰論』/カズオ・イシグロ『日の名残り』

晴。
「3pigs」にて昼食。
ペルシウス、ユウェナーリス『ローマ諷刺詩集』読了。国原吉之助訳。ラテン文学の中でも、シブいのが訳されたではないか。それも、碩学による格調高い訳で*1。原文はヘクサメトロス(長短短六歩格)の諷刺詩(satura)であるが、本訳は散文訳なのが、残念といえば残念である。でも、これは仕方がない。七五調なんぞで訳すよりはいいと思う。もっとも、原文は詩だから、散文訳にしたところでスラスラ読めるようなわけはない。詩を翻訳するとはかくもむずかしいものだが、自分などラテン語は到底歯が立たないので、本書は誠にありがたい。次はホラティウス希望です。

ローマ諷刺詩集 (岩波文庫)

ローマ諷刺詩集 (岩波文庫)

港千尋『芸術回帰論』読了。さほど鮮烈な認識を感じることはできなかったが、連作エッセイ集として読めば充分面白かった。収録されている写真の数々が洒落ている。
芸術回帰論 (平凡社新書)

芸術回帰論 (平凡社新書)

カズオ・イシグロ日の名残り』読了。内容はいまさら紹介するにも及ぶまい。最初の五〇頁で展開がだいたい予想できてしまったが、ラストはやはり感動的だった。イマジネーションは単調だけれど、よく計算されていて、エンターテイメントとして読めば充分楽しめるだろう。
日の名残り (中公文庫)

日の名残り (中公文庫)

*1:原文を読めない自分がいうのも何だが、ちょっと格調が高すぎるのでは、と思うところもあったけれど。ユウェナリスなど、相当に猥雑(つまりエロ)だから。