日曜日。雨のち晴。
妹一家帰る。
マキァヴェッリ『フィレンツェ史(下)』読了。翻訳書での下巻(第五巻から第八巻まで)の方が、上巻よりもドラマに満ちている。「メディチ家」というヒーローがあるからだろう。本書は、メディチ家出身の法王クレメンス七世に献呈されていることもあり、メディチ家に対して好意的、というか殆ど絶賛であるが、阿諛追従のためばかりであったとは云えないように思う。それは、歴史が示すとおりであろう。最後はロレンツォ・デ・メディチの死で終わる。
本書を読んでいて驚かされるのは、国家にせよ傭兵隊長にせよ、いとも簡単に同盟者を裏切ることである。陰謀も続出し、だまし討ちなど平気なのだ。こういう中だったからこそ、『君主論』もあのように書かれたことは納得できる。かかるイタリアの状況は、リアル・ポリティクスというのも生やさしいほどのものだった。それから、一方で呆れるのは、戦闘の生ぬるさである。半日を要した合戦で、双方の死者があわせて一人だとか、そんなことがあるのだ。遊びというか何というか、いったい戦闘と称して、何をやっていたのだろうか。合戦は傭兵にやらせることが多く、各都市はこれに多大な金をつぎ込むのであるのに、すぐ裏切られたりする。マキァヴェッリは、こうした傭兵に対して嫌悪感を隠さないが、むべなるかなである。
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しかし、ちょっと固有名詞にすぐにレッテルを貼り付け過ぎなのでは? あの時代(1968と云ってもいいでしょう)の関係者特有の生臭さなのだが。あと、どうでもいいゴシップ・ネタはやめてほしい。
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