日曜日。曇。
岩田規久男『インフレとデフレ』読了。本書の元本は新書であり、重要な加筆(第十章)をされて出版された。ここは自分の拙い感想文を書くよりは、田中秀臣氏のブログ記事(参照)を読んでもらった方がいい。あとは蛇足を少し。方便として書いておくが、まず、よいデフレというのはありえない。そして、リーマン・ショック以降、デフレになっている国は日本だけであるが、それはどうしてなのかを考えるとよいと思う。まあ、端的に云ってしまえば、いつも云っていることだけれども、それは「日本銀行が悪い」のである。そんなことは信じられない、一国の経済を決めるのは企業の業績などだろう、と思われる人もいるだろうし、例えばあのかしこい東浩紀氏なども、そういう意見の持ち主であるようだ。それは、こう考えるといいかも知れない。一国の経済活動を決める、大きな要因のひとつはマネタリー・ベース(だいたい、一国に存在するお金の総量とでも考えておいてよい)であるが、それをコントロールできるのは日銀だけなのである。そこに、日銀の役割の決定的な重要性のひとつがあるわけだ。
経済活動において、人々の「予想」(あるいは「期待」)が本質的に重要なことは、最近ますますはっきりとしてきている*1。日銀のデフレ脱却に関するやる気のなさは、デフレを助長する最重要因になっている。ここを変えない限り、デフレも超円高も克服することはできないだろう。
- 作者: 岩田規久男
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/04/11
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- 作者: 田中小実昌
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
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さらに興味深いのは、これらポアンカレやクラインのモデルを、2次元リーマン幾何の強力な方法を使って、分析してある点だ(第三章)。これは確かに美しい。多様体論をこうして具体的に使うというのは、物理学(一般相対性理論など)以外ではなかなか個人的に見たことがなかったので、面白かった。
ちなみに第四章のヒルベルトの幾何は、自分には相当レヴェルが高かった。このあたりがもう少し見えてくるといいのだけれど。
双曲幾何については、岩波講座「現代数学への入門」にあったと思う。本書でわかりにくかったところは、これで補えるといいのだが。
- 作者: 小林昭七
- 出版社/メーカー: 日本評論社
- 発売日: 1990/09/01
- メディア: 単行本
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