フォークナー『八月の光』/南部陽一郎、H・D・ポリツァー『素粒子の宴』

晴時々曇。
図書館。
フォークナー『八月の光』読了。いやあ、しんどかった。長い(文庫本で650頁を超える)だけでなく、強度もすごい。強烈で荒々しい、暴力的でむくつけき、(よい意味で)野蛮な小説だと感じた。アメリカの小説によくある、アメリカの荒んだ部分がくっきりと出た傑作だと思う。本書も、フォークナーのいわゆる「ヨクナパトーファ・サーガ」に属する長編小説である。

八月の光 (新潮文庫)

八月の光 (新潮文庫)

南部陽一郎とH・D・ポリツァーの対談集『素粒子の宴』読了。ophthalmos さんのブログ記事(参照)に教えられた本で、ちょっと読んでみたいなと思っていたら、図書館にあったのだった。早速借りてきて一読、おもしろかったです。本書の初版は一九七九年に刊行されたものなので、QCD(量子色力学)の正しさが確認されてないなど、話題としては今では目新しいことは殆どないが、それでも面白いのは、「仕事場の雰囲気」とでも云えるものが、瀰漫しているからだ。教科書を読んでいるだけだと、理論がこういう混沌とした状態の中から、試行錯誤で立ち上がっていく様子が、どうしても見えにくくなってしまう。本書は、大物理学者である南部陽一郎と、優秀なポリツァーの掛け合い(途中で松岡正剛が飛び込んできたりする)が、まことに刺激的だ。素粒子物理学か。憧れるなあ。もっと物理を勉強したくなってきた。背伸びして、むずかしい本が読みたい!
素粒子の宴 新装版

素粒子の宴 新装版


しかし、市の図書館だけでなく、県の図書館にも、ランダウ=リフシッツの大教程すらないとは… ダメだなあ、岐阜は。