『折口信夫天皇論集』/中村真一郎『女たち』

日曜日。曇。
家の裏で白い猫が死んでいた。悪いものを食べたか、病気だったのか、血を吐いていた。かわいそうなので埋めてやる。どうしてウチを死に場所にしたのかなあと思う。静かだからか。何でも昨日あらわれ、母の顔を何度も振り返りながら去っていったということだ。
折口信夫天皇論集』読了。折口信夫を読むのは大変だ。強烈な(本当ですよ)インパクトがあって、ふらふらしてしまう。そして、とてつもなく深い。なお、安藤礼二のシャープな解説には、教えられるところが多かった。

折口信夫天皇論集 (講談社文芸文庫)

折口信夫天皇論集 (講談社文芸文庫)

中村真一郎『女たち』読了。傑作。何ともバタ臭い文体の小説だ。中年の男が若い女性に初めての結婚を申し込む際、過去の女性遍歴を文章で告白するという体裁になっている。きわどい描写はあるが、ポルノグラフィックではない。むしろ、日本語の小説としては異例なことに、精密な心理解剖を行なっている。明らかにフランスの小説を意識したものだ。ここが著者の手柄であり、あるいは反発を起こさせるところかも知れない。いずれにせよ、自分には面白かった。バタ臭い文体がとにかく魅力的。
 ところで、本書には八重洲ブックセンターの栞が挟まっていたのだった。どこをどう流れて、岐阜のブックオフまでやってきたのか。