(有限)群と対称群

遠山啓の『代数的構造』を読んでいたら、初歩なのだけれど、「位数nの群Gは n次の対称群 の部分群と同型である」(定理10、p.114)とあって、「ん?」と思った。本文を補足する。 のとき、 をとってGのすべての要素と群の演算を施してやると、出てきたn個のGの要素 は、Gのすべての要素を尽くしているわけである。すなわち
   
単射。(なぜなら、 とするとき、もし について ならば、両辺に右からxの逆元を掛ければ となって矛盾。よって である。)こうすると、片方を固定した群の(すべての要素の)演算が、添字の置換を引き起こすと見ることができる。ここに、群(であれば何でもよい)の演算が対称群と関係をもってくる理由がある。
 それから、もっと初歩だが、任意の をとるとき、Gの演算を適当になして、 を必ず作ることができる。なぜなら、 (ただし )となるx, yは必ず存在するから、式に(上と同じように)右からxの逆元を掛けてやればいい。
 これらは普通の教科書に普通に書いてあることなのか知らない。当り前すぎるのかもしれない。

代数的構造 (ちくま学芸文庫)

代数的構造 (ちくま学芸文庫)