リヒテルの未発表音源

リヒテルの未発表(と思しき)ライブ録音を聴く。リヒテルのレパートリーとしては、自分が聴いたことのない曲ばかりだったので、否が応でも期待した。
 まずは、バッハのブランデンブルグ協奏曲第六番。第五番は鍵盤楽器の長い独奏がある曲だが、この曲は特に鍵盤楽器は活躍しない。リヒテルはごく普通に、まあ気持ちよさそうに弾いてはいる。オケは学生オケのようで、可もなく不可もなしであるが、それだけ超一流のピアニストが目立ってしまうのだ。終楽章はアレグロ・アッサイなのだから、冒頭のオケの入りのテンポが遅すぎる。そのうちリヒテルが走りだすので、段々オケもつられてくるのだが。1978年の演奏。
 次はメインのモーツァルト、ピアノ協奏曲第十八番。なのだが、はっきり云ってコンドラシンの指揮するオケが最悪。テンポ感が悪いし、音も汚い。第二楽章は速すぎる。ポコ・ソステヌートがまったく利いていない。終楽章は入りがリヒテルなので、いいテンポで始まるからまあ聴けるのだが、なんとリヒテルが派手なミスタッチをやっている。乗らなかったのだろうな。1977年の演奏。
 最後のブラームス、晩年の小品集op.116から四曲。これは素晴しい。地味で効果を上げにくい曲を選んでいるが、どれもいい曲に聞こえる。というか、本当はいい曲だったのだな。特に二曲のカプリッチョ。名曲である間奏曲(インテルメッツォ)op.116-6は、中間部がなんとも魔術的だ。さすが。この演奏を聴くと、リヒテルには間奏曲をもっと弾いて欲しかったと思う。1964年の演奏。
 それから、全体にノイズ・リダクションが上手くいっていないのかも知れない。ノイズがあるという意味ではなくて、リヒテルのピアノの音がちょっと不自然ではないか。響きがかなりデッドだ。特にモーツァルト

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アマゾンでは発売されていないようだ。