マラマッド『レンブラントの帽子』/田中克彦『チョムスキー』

晴。
バーナード・マラマッド『レンブラントの帽子』読了。表題作は、繊細な短編にはちがいない。こういうのが優れた文学というわけか。

レンブラントの帽子

レンブラントの帽子

田中克彦チョムスキー』読了。面白い。盲目的なチョムスキー礼賛ではなく、かなり批判的な視線でチョムスキーを見ているが、学問的に良心的な仕方でなされていると思う。と、自分などがいうのは偉そうですが。批判的であるがゆえに、却って対象の姿が浮き彫りになるということは、あるのではないか。本書を読んでいろいろなことを考えさせられたのだから、著者の意図は自分には成功したのだと思う。さて、生得的な「器官」である言語の深層構造などというものは、本当にあるのか。そしてそれは、どの言語であっても同じなのか。そこから切り出されてくる表層構造のみが、個々の言語に他ならないというのか。