ブライアン・グリーン『隠れていた宇宙(上)』

晴。

ブライアン・グリーン『隠れていた宇宙(上)』読了。著者の処女作である『エレガントな宇宙』は超ひも理論を解説して話題になったし、実際読んで面白かった。『宇宙を織りなすもの』は、どういう話だったっけ。で本作だが、とりあえず上巻は、まだ導入という印象だ。このさき話を、並行宇宙、多世界解釈にもっていくようである。ここまでだけでも相当に荒唐無稽な感じで、現代物理学ではこんな(SFっぽい)ことが真面目に論じられているのだと、驚かされる。個人的には、宇宙の大域的な空間(「時空」ではない)曲率が0であるというのが、エッという感じだった。本当に宇宙ってフラットなのですか。それからさらに、宇宙はおそらく無限だというのだが、無限宇宙のビッグバンというのが、よくわからないのである。空間は無限で物質だけ膨張するのだろうか。わかっていないなとお笑い下さい。あと、宇宙は加速膨張しているというのは、やはりそうなのだな。一般相対性理論の宇宙定数(宇宙項)が、わずかに0ではないということである。
 記述はわかりやすくて、そのうえ才気を感じる。著者は超ひも理論の一流の研究者ということだが、こういう人材が一般向けの科学本を書けるというのは、日本ではなかなかないことだ。なお、翻訳はたぶんかなりいいものだと思う。

隠れていた宇宙 (上)

隠れていた宇宙 (上)

エレガントな宇宙―超ひも理論がすべてを解明する

エレガントな宇宙―超ひも理論がすべてを解明する

宇宙を織りなすもの――時間と空間の正体 上

宇宙を織りなすもの――時間と空間の正体 上

宇宙を織りなすもの――時間と空間の正体 下

宇宙を織りなすもの――時間と空間の正体 下