晴。
中村靖彦『日本の食料が危ない』読了。得るところもあるが、不満もある。ひとつのイデオロギーで斬るというようなことはしていないけれども、しっかりしたバックボーンも感じられない。特に、経済学の知見が明らかに足りない。自分のような経済学については初心者に毛が生えたような者にさえ、勉強不足がわかる。一般論だが、物理を物理学を知らないで語れるという人はまずいないと思うけれども、経済は経済学を勉強しないでもわかると思っている人は、結構多いのではないか。もちろん、それは甘い。しかし、著者がマスメディアの「不勉強」を語っているのは、奇妙な感じだ。それは確かに当っている。
いずれにせよ、「農業問題」がむずかしいのは間違いない。例えば、農業をビジネスとして捉えるべきなのか、それとも、やはり食というものは特別で、ビジネスとして考えるべきではないのか。自分の思うところでは、やはり基本的にビジネスとして捉えるべきではないか。それは、魅力ある「商品」を作った人が、それなりに報われ、成功するというようにしないと、資本主義の下では、結局若い人は農業を選択しないし、農業の未来もないと考えるからだ。今の補助金漬けの農業が、却って農業を殺してしまったのだと思う。
- 作者: 中村靖彦
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2011/05/21
- メディア: 新書
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