「すばる」7月号・中沢新一「日本の大転換(下)」

晴。
運転免許の更新に、三田洞へ行く。講習の話に、乗車中の震災への対応があった。帰りに自由書房芥見店に寄り、「すばる」7月号を探したがない。文芸誌は置いていないとのこと。仕方がないので、帰宅してからカルコスへ行く。ここにはさすがにあった。
で、「すばる」7月号を読む。清川あさみの表紙がすばらしい。まず、ル・クレジオとボリス・アクーニンの震災への寄稿。ありがたや。しかし、ヨーロッパ人には、日本は依然として不思議の国なのか知らん。次いで、期待は中沢新一の「日本の大転換(下)」。当然のことながら、中沢は現在の日本のエネルゴロジー(中沢の造語で、「エネルギーの存在論」というような意味)の転換を主張し、これも当然ながら自然エネルギーの導入も主張するが、それを文明史的に「第八次エネルギー革命」と位置づける。そこで面白いのは、太陽光発電と植物の光合成の類似を指摘しているところだ。植物の光合成(太陽からの「贈与」!)とは意表をつかれたが、これは確かにまだあまり追求されておらず、色々な可能性があるだろう。そして中沢らしいのが、その「第八次エネルギー革命」と、資本主義を超えた、来るべき経済システムとをリンクさせている点である。そこでは基底に「贈与」の精神がセットされ、その上で「交換」が行われてゆく。これに関しては、「インターフェイス構造」や「ハイブリッド性」を発達させている日本文明こそもっとも可能性をもっているのであり、「第八次エネルギー革命」の可能性は、日本文明にとって大きな僥倖となるだろう。――と、こんな感じだろうか。「来るべき経済システム」については、中沢は『黄色い資本論』という仕事を進めておられるそうだ。楽しみでならない。かつ希求する。

すばる 2011年 07月号 [雑誌]

すばる 2011年 07月号 [雑誌]


田中秀臣氏のブログ「Economics Lovers Live」が閉鎖されてしまった。第一に健康上の理由らしいが、最近そのすごさがわかりかけてきたところなので、残念だ。せめて過去ログが見られるといいのにと思うが、個人の判断にもちろん文句はつけられない。主要な内容は、別のサイトに移すそうではあるけれど。もっと早く全部読んでおけばよかった…