山口昌男『内田魯庵山脈(上)』

晴。寒い。
山口昌男内田魯庵山脈(上)』読了。全部読んでから書こうかと思ったが、まあメモ程度に。山口は近代日本の知の最も「良質な」部分として、内田魯庵の周辺の「見えないネットワーク」を称揚し、そういう柔軟な知を「生真面目な」柳田国男らの民俗学が滅ぼしてしまったと、柳田に批判的なのであろう。しかしそれは、理論的に、そう、山口の理論からしても、滅びるのは当然なのである。それは、二元論を採る以上、避けられない。そして、「トリックスター山口昌男も、やはり勝つか負けるかという思考でいく限り、負けるのである。まさしく、山口理論のいうとおりに。だから、そんなことは気にするなと言いたいのである。勝つか負けるかでなければ、浮かぶ瀬もあろう。そう思わなければ、やっていられないではないか。実際、粋に生きた洒落者たちは、滅びるかどうかなど、考慮の外だったろう。そして自分は、じつは山口だって滅びないと思っている。