ヘーゲル『小論理学(下)』/ドゥルーズ編著『哲学の教科書』/一松信『数のエッセイ』及び三角形の面積について

日曜日。霜。晴。
カルコス。
夜、NHKで「坂の上の雲」。ああ、来週は戦争か。戦争は嫌だなあ。

ヘーゲル『小論理学(下)』読了。

小論理学 下 (岩波文庫 青 629-2)

小論理学 下 (岩波文庫 青 629-2)

ジル・ドゥルーズ編著『哲学の教科書』読了。このような本が文庫に入るとは、日本というのは確かに奇妙な国に違いない。今、ちょっと移行期に入っている。細かく考えることができない。

一松信『数のエッセイ』読了。おもしろい。教科書には載っていないような話が多い。
数のエッセイ (ちくま学芸文庫)

数のエッセイ (ちくま学芸文庫)

ところで、本書p.159-160に、三角形の面積の計算式として、3点
   
を頂点とする三角形の面積Sを、簡単に
   
で与えてありますが、この式の導出はわかるでしょうか。本書には書いてありませんが、どうでしょう。
 これは次のようにします。右図を参照してください。求める三角形はABCです。これを3つの三角形OAB、OBC、OCAに分割します。ここで、OABは長方形AFBOの半分です。
 また、三角形OBCは三角形OBDと面積が同じなので、長方形OBDGの半分です。同様に、三角形OCAはOEAと面積が同じなので、長方形EAOHの半分です。
 したがって、求める面積Sの2倍である2Sは、長方形AFDGとEAOHの和ですから、
   
となり、(負号の処理など)これを整理すれば、上の公式となります。美しい結果ではないでしょうか。(なお、点Aが原点ならば、当然
   
が成り立ちます。)
 三角形の3辺の長さがわかっている場合は、まずヘロンの公式があります。3辺の長さをそれぞれAB=a、AC=b、BC=cとおくと、s=(a+b+c)/2として、
   
ですね(それにしても、この公式はどうやって導出するのでしょうか。すぐには思いつきません。検索してみると、初等的な計算力頼みの証明でもできますが、幾何学的に美しいやり方もあるようです(例えばこちら))。しかし、実際の大学入試などでは、ヘロンの公式は応用が利かないので、他の設問と関係している場合、三角関数を用いたやり方の方が、うまくいく場合が多いようです。それは、角BACをθとおくと、余弦定理より、
   
ですから、これを
   
によってサインに直し、最後は公式
   
によって求まります。なお、これをベクトルで表現すると、
   
より、
   
     
となります。