羽田正『冒険商人シャルダン』/デュラス、コクトー『アガタ/声』/小沢一郎『小沢主義(オザワイズム)』

晴。
羽田正『冒険商人シャルダン』読了。これは面白い。シャルダンは十七世紀フランスの宝石商人で、若い頃ペルシアに長らく滞在し、晩年に当時のペルシアについての本を書いた。本書はシャルダンの一代記であり、十七世紀を影から照射した本にもなっている。シャルダンのペルシア紀行はかなり有名で面白いものらしく(ヴォルテールディドロ、ルソーらが言及し、『ペルシア人の手紙』を書いたモンテスキューが、座右に置いた書でもある)、邦訳もあるようで、ちょっと読んでみたくなった。

冒険商人シャルダン (講談社学術文庫)

冒険商人シャルダン (講談社学術文庫)

デュラス/コクトー『アガタ/声』読了。傑作戯曲二篇。渡辺守章の翻訳が見事だ。解題にも圧倒される。ちなみに、めずらしくも、浅田彰がオビの推薦文を書いている。こんな具合だ。
「独白や対話の連なり、それだけがイメージを超えたリアルな世界を作りだす。コクトーとデュラスの魔法のペンだけに可能な、そして仏文学の伝統を血肉化した訳者だけに翻訳可能な、言葉の魔術である。」
アガタ/声 (光文社古典新訳文庫)

アガタ/声 (光文社古典新訳文庫)

小沢一郎『小沢主義(オザワイズム)』読了。本書はゴーストライターの手に成るものではなく、まず間違いなく小沢一郎が自分の手で書いたものだと思う。本人の手に成るのでなければ、これほど大胆なことは書けなかっただろう。文章も、上手いとかそういうことではないが、きちんとした個性がある。今の日本では、小沢一郎は悪人で犯罪者だと思っている人が大部分だろうが、虚心坦懐に本書を読んでみて、自分の判断で結論を出してみるのは、いいことではないか。途中、国民のレヴェル以上の政治家は出ない、というのが印象的だった。大変な気合を以て書かれた本だと思う。
小沢主義 志を持て、日本人 (集英社文庫)

小沢主義 志を持て、日本人 (集英社文庫)