細雨。
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プリーモ・レーヴィ『休戦』読了。奇跡的にアウシュヴィッツを生き延びたイタリアのユダヤ人が、ロシアを経由して、これまた奇跡的にイタリアへ帰り着くまでの記録。艱難辛苦という言葉でも足りないほどの体験なのだが、途中、まわりには、どんな状態になっても、しぶとく生き延びようとする人間が必ずいるのだった。こういう中では、人を騙すことなど何とも思っておらず、一文無しでもきっとさまざまの取引、商売をしてみせる人間が、逆説的にも、生き生きと明るく「人間らしく」見えてくるというのは面白い。
- 作者: プリーモ・レーヴィ,竹山博英
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2010/09/17
- メディア: 文庫
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押井守監督のアニメ『イノセンス』のDVDを観る。劇場で公開されたときは、あまり高く評価しない人が少なくなかったように覚えているが、大満足だった。サイバーパンクは以前から好きで、前作はきちんと映画館で観たのだけれども、最近は映画館から足が遠のいていたのだ。なんといっても、映像の美しさは無類である。映像の近未来のアジア風である、SF的細部がいちばんの魅力で、堪能させられた。筋書きをわざと分り難くくしているのも、過度に事件の背後を説明しない点、原作の士郎正宗っぽくてよい。誇張して云えば、ストーリーなんかもうどうでもいいくらい、それほどの映像の美しさだった。いやほんと、最近は映画を観ていなかったので、(DVDでも)それだけで楽しかった。
- 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
- 発売日: 2004/09/15
- メディア: DVD
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※追記 あまり否定的なことを書いたので、もう一度聴き直してみたら、印象はだいぶ変った、というか、辻井が何をしたいか分ったような気がする。この演奏は、甘ったるい曲を甘く甘くやってみた、ということだと思う。第二楽章の最後の方など、耽美的なのが効果を発揮していた。そして、若いのにとても熟れている。とにかく、辻井には、賛否は問われるだろうが、はっきりとした個性がある。将来、彼が日本の至宝になっても、自分は驚かない。
- アーティスト: 辻井伸行×佐渡裕
- 出版社/メーカー: エイベックス・エンタテインメント
- 発売日: 2008/10/22
- メディア: CD
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