三回目の京都日帰り家族旅行

京都・法界寺付近にて

日曜日。天気を心配していたが、晴。恒例になってきた感のある、京都への日帰り家族旅行である。これで三回目。
 いつものように、岐阜羽島駅までは車で、そこから新幹線こだまで京都まで。なのだけれども、いつも指定席を取るのだが、今日は喫煙車しか取れず。ああ、三連休だったなと思い当たる。喫煙車に乗ってみたのだが、タバコ臭くてかなわない。已むを得ず、いいのかなと思ったが、がらすきの自由席へ退散。これなら最初から自由席でいけばよかったな、と。
 四十分で京都。地下街のポルタで、十一時開店と同時に食べ物屋へ入る。京都での昼食は難題だが、経験からこれが一番。実際、それでも席はすぐにいっぱいになってしまう。(そうそう、こういうことを気にする人向けだが、ポルタのトイレはすべてウォッシュレットです。)
 JR奈良線で宇治まで。今日のメインは平等院だ。自分は三回目だが、この十年であたりが観光客目当ての店だらけになって、びっくり。前はこれほどではなかった。人出もすごい。(が、今回どこでもだったのだけれど、なぜか外国人の姿が少なかった。円高のせいかなあ。中国人や韓国人が特に少ないように感じた。)
 平等院鳳凰堂は入場料以外に別途「志納金」とやらが必要で、さらには一時間三十分待ちだとか。いいかげんにしろ、という感じで、写真だけ撮って退散する。なにか「鳳翔館」とかいう気取った展示館を見学。確かに国宝の鳳凰などは一見の価値はあるとは思うが。
 宇治川を渡って、対岸の宇治上神社へ。国宝の建物があるが、へえと思ったくらい。途中、昔飼っていた猫とそっくりなやつと遭遇。
 宇治川の流れは速い。宇治川の合戦って、こんなところを馬で突っ切ったのだろうか。流れが速いので泳ぐな、という看板あり。当り前だろう。泳ぐアホがいるのか。
 京阪宇治駅(なんとコンクリート打ちっぱなしのモダンな駅舎になっていた)から、宇治線六地蔵駅へ。これまた京阪のタクシーで法界寺へ。とタクシーの運転手に言ったが通じない。日野薬師で通じた。駅から車で十分くらいなのだが、ここは完全な穴場だった。観光客ゼロ。
 鳳凰堂で見損ねたのと同じ、定朝様式の阿弥陀如来像(国宝)あり。これはふくよかな御顔で、いいもの。そのお堂である、藤原時代の阿弥陀堂も立派なもので、これも国宝。内部の飛天の壁画(重文)もなかなかで、落剥はあるがなんとか見られる。寺の坊さんがぶっきらぼうな感じで解説してくれるのだが、猫なで声の観光客ずれしたのに比べたら、遥かに気持ちがいいと感じるのは、勝手な観光客ですね。
 タクシーの運転手に「日野薬師で通じた」と言ったとおり、ここはお薬師さんの民間信仰の方が有名で、薬師如来像は秘仏だが、その薬師堂は重文である。安産、授乳の御利益があるということで、赤ん坊の涎かけがたくさん奉納してあった。「日野」というのは例の日野富子の日野で、ここはもともと日野氏の出である親鸞聖人の生地でもあるそうだ。
 帰りはバスで。JRまたは京阪六地蔵駅とここを結んでいるので、これで行ってもいい。六地蔵駅まで行くつもりだったのだが、途中の石田駅ってなんだろうと運転手に聞いたら、地下鉄(東西線)だというので、これはいいと、ここで降りる。次の駅の醍醐駅で降り、ちょうど来たコミュニティ・バス(三十分に一本)で醍醐寺へ(駅から歩けないことはなさそうだが)。
 醍醐寺は秀吉の「醍醐の花見」のそれだ。広い。とりあえず三宝院(さんぼいん)へ。まあ、桃山時代の建物。襖絵落剥。表書院は国宝だが、へえというようなもの。庭(撮影禁止)は秀吉が基本設計したものだそうだが、へえというようなもの。「天下の名石」とかいうような石(藤戸石というらしい)が立ててあるが、へえというようなもの。唐門とかは国宝だが、へえというようなもの。
 とにかく広い。国宝の五重塔は、これは立派で、しばし呆然とする。天に突き刺さったよう。十世紀中頃の建造で、醍醐寺の建物の中ではいちばん古い。金堂も国宝だが、これは良さがよくわからない。お薬師さんに、真言(おんころころせんだりまとうぎそわか)を唱えながら御参りしてくる。弁天堂はきれいですよと受付で聞いたので行ってみたが、そりゃ新しければきれいだわな。いやあ、もう流石にくたくた。自販機のアクエリアスを回し飲みして、一息。
 地下鉄醍醐駅の近くでひどいケーキ・セットを食したあと、どうやって京都駅にもどるか考える。地下鉄で六地蔵まで戻り、JR奈良線で、か。逆に山科まで行ってJR東海道本線で、か。さらに突き抜けて烏丸御池まで行き、地下鉄烏丸線に乗り換えて、か。結局、値段のいちばん安い最後の案にする。しかし、地下鉄東西線のホームは面白いなあ。ホームと線路が完全に扉付きのガラスで仕切られてあって、電車が着くと、ホームの扉と電車の扉が同時に開くのだ。
 京都駅で新幹線の指定席を見たが、やはり空きはなし。自由席はどうかと思ったのだが、早めに並んでいたのでなんとか座れてよかった。午後七時頃に岐阜羽島駅。家に帰ってから、飲みながら京都駅でいろいろ買い込んだ駅弁をつつく。という一日でした。