富永茂樹『トクヴィル』/古井由吉『野川』

曇。夜雨。
プール休み。イオン。
富永茂樹『トクヴィル』読了。一般向けの新書ながら、実に中身が濃い。トクヴィルが、今の時代と、我々日本人とにも無関係でないことがよくわかった。岩波文庫の『アメリカのデモクラシー』は一応読んでいたのだが、読めていたうちに入らなかったな。トクヴィルの言葉を孫引きしておこう。「民主的世紀の人間は自分と同等の隣人に従うことに極度の嫌悪感を覚えざるを得ない。彼は隣人が自分よりすぐれた知識をもつことを承認しない。隣人の正しさを疑い、その力に猜疑の目を向け、彼を恐れ、かつ蔑む。」これはテレビを見ているとわかる。

トクヴィル 現代へのまなざし (岩波新書)

トクヴィル 現代へのまなざし (岩波新書)

古井由吉『野川』読了。これからは、個人的に極めて大きなものを得た。幻想小説とは云えないかも知れないが、黄昏を思わせる夢とうつつとの交錯が、幻想小説風ではある。単にそれだけと云えないのは、若さと老い、エロスと死が絡み合って、奥深いところから執拗に手を出してくるからだ。その静かな強烈さは、こちらの認識まで変えかねないほどである。解説は平出隆
野川 (講談社文庫)

野川 (講談社文庫)