瀧本敦『ヒマワリはなぜ東を向くか』/川本三郎『雑踏の社会学』

晴。
皮膚科。
瀧本敦『ヒマワリはなぜ東を向くか』読了。科学読み物として、これは面白い部類に入るものだ。植物の花が開くのに、何らかの「開花ホルモン」というものが存在する間接的な証拠がいろいろあるのに、これがまだ見つかっていないらしい。もしこれが見つかれば、どんな花でも(予想される「開花ホルモン」は、どの植物でも同じらしいことがわかっている)自由に開かせられるだろうに、そういう話は確かにまだ聞いたことがない。また、中学校の時の自由研究のテーマに朝顔の開花を選んだために、その不思議さに執り付かれ、とうとう著者の研究室に大学院生として入って、プロの研究者となってしまった人もいるそうだ。こんな簡単そうなテーマなのに、調べれば調べるほど新たな疑問が湧いてくるというのは、研究者としてなんという幸せだろう。などなど、ちょっと古いが、いい新書本です。

ヒマワリはなぜ東を向くか―植物の不思議な生活 (中公新書 (798))

ヒマワリはなぜ東を向くか―植物の不思議な生活 (中公新書 (798))

川本三郎『雑踏の社会学』読了。いわゆる「東京本」である。田舎者なのに、つい「東京本」を読んでしまう。そして、僻んだ感想を抱いてしまう。「いい気なもんだ」とね。著者は(一応断り書きはするものの)平気で田舎者を「ダサい」と形容するが、まあそうなのかも知れないけれども、では本書は恰好いいのか。まあしかし、それは措くとして、面積的に見ると日本の大部分は「田舎」だが、人口的には、「都会」の割合がかなりにはなるだろうし、本だって、その大部分は東京で造られている。そのことについて、何をいう積もりもない。
 本書は「バブル」以前の、「東京ひとり歩き」である。恐らく今の東京は、本書とはまったく違ってしまっているだろう。そう、自分の家の周りは、「バブル」でも何も変わらなかった。ただし、そのうち、「郊外」というものが出来た。ピカピカの「イオン・モール」まで、車で10分足らずである。不思議な時代になったものだと思う。少なくとも本書のような「昭和テーマパーク」(東浩紀)に、何の未練も同情も感じないのは確かだ。
雑踏の社会学 (ちくま文庫)

雑踏の社会学 (ちくま文庫)


今あまり本を読むまいなどと思っているのだが、なかなかそうはいかないな(笑)。つい、読んでしまう。

追記

あとで読み返してみると、ここ何日か鬱屈しているな。何のせいでしょう。これはいかんな。(9/26記)