福島家族旅行(第三日)

医王寺にて

九時ごろ、宿からレンタカーで医王寺へ。杉並木が立派だ。芭蕉の句碑あり。他はまあ何ということもないが。車で移動、中野不動尊へ。何ということもなし。さらに車で、信夫文知摺(しのぶもちずり)へ。ここも芭蕉の句碑あり。歌枕で、百人一首にもあって有名。文知摺岩などなど。美術資料館に展示されている、鈴木宗吉という人(まったく知らない人なのだが)の「みちのく仏の道」なる絵画連作がいい。共作の、片野達郎という人(こちらも知らない)の俳句も、(自分は俳句がわからないので、母の意見に拠ると)いいらしい。意外な拾い物だった。
 昼時にレンタカーを返し、福島駅前の老舗「福寿司」にて昼食。「上」でまあまあ。メヒカリの天麩羅(一日目の旅館のより旨かった)など、福島の郷土料理がよかった。
 電車の時間までまだあったので、駅ビル内の「岩瀬書店」にて時間をつぶす。澁澤龍彦の文庫新刊を買う。思えば、久生十蘭の短編集をちびちび読んだ以外は、旅行中ほとんど本を読まなかった。それもいいだろう。まだ時間があまって駅ビル内のカフェでうだうだ。
 新幹線で福島から東京、東京から名古屋。岐阜には七時ごろ着。なんとも暑い三日間だった。

二泊目のホテルの廊下で鳴っていた、ブラームスのop.118-3が耳についていたので、帰ってから聴く。バックハウスのピアノが一番よかった。アファナシエフのはいまいち。ついでにグールドのピアノでop.119-1。