中上健次『十八歳、海へ』

晴。
中上健次『十八歳、海へ』読了。恐らく著者が最も初期の頃に書いた短編集。とにかく衝撃的な言葉を使おうとする意図は見え透いているが、文章の端正な骨格は、この頃から変らない。この骨格の端正さと暴力的な言葉がうまく結合し、読ませる部分は、既に少なくない。後年には見られない、実験的な手法を用いたものもあって、模索しているのだなと思う。というわけで、優れた資質は明らかで、けれどもこの後、著者は伸びたのだ、ということでもある。なお、津島佑子の解説もよい。

十八歳・海へ (集英社文庫 青 107-B)

十八歳・海へ (集英社文庫 青 107-B)